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すっとこどっこい

あることないこと

セクシーランジェリーのこと


どうも、悔しいのだ。


私の恋人は8つ歳上で、おねーさま方に仕込まれた百戦錬磨(私比)の大人の男だ。


混雑している場所で自然に腰に手を回す奴なんて普通じゃない。


そんな三十路男と交際経験2人目(それも1人目も尋常じゃないアホ)の私が付き合ったら手のひらの上でコロコロされることなんて目に見えている。




それでも、

悔しいものは悔しいのだ。



特に悔しいのは閨のことである。

ここで嫌な予感がした人はブラウザバックをしてくれ。






8つも上だからか、私に魅力がないからか、こう、押し倒されるなんてことはまずないのだ。


気づくと私の方が腹なり胸なりに噛みついて叱られる、というのがいつものパターンだ。


ここで俯瞰してほしい。

馬乗りになっているのは誰だ。

私だ。

恥じらいもなく腹の上に腰を据えてぷんぷんしている。


以前「腹上死、という言葉は男だけに使えるものだ」という話になり、

いや女も腹に乗るやろと思ったのはそういう所以だ。

話が逸れた。


別に私だって恥じらいがないわけではない。

うっかりエロ漫画を開いてしまったり、ラノベの全裸扉絵を見て顔を赤らめるくらいの慎ましさはある。


その慎ましさを、鼻腔をくすぐる洗剤の匂いが上回るのだ。


それでも、

それでも、だ。

私はガバーと押し倒されたいのだ。


いつも余裕ぶっこいてる三十路が、

余裕をなくしているところを「あらあら」なんつってみたいのだ。





私は考えた。

何か起爆剤が必要だと。



彼はどうも、『ジェリー』だとかセ シルマクビー的な格好が好きらしい。

オフショルの太もも丈ニットワンピ(白)を指されたって困る。

そもそもマネキンたる私のビジュアルはもっと簡素である。


参考までに訊いた好きな下着の色は

「黒地に赤」だそうだ。

逆だったかもしれない。

見つけたものの、そんなあんな派手なものは趣味ではない。

それに座布団のようだった。




趣味が童貞的なんだろう、ということで

ドゥンドゥンしている店で童貞を殺す服を探すことにした。


オフショルニットワンピは見つけたものの、

あんなに脆弱そうな布に金を出す気にはなれない。

それにいつ着るんだ。


これはどうかなと思うワンピースがあったが(透け感白レースに黒レザーっぽいもの)、

流石にこの催しに3990円は躊躇われた。


もうわからん。

童貞を殺すというか、久々に謡曲集(角・重さ共に殺意の塊みたいな本)にお越し頂こうかと思ったが、

私が見たいのは頬を紅潮させた三十路で、

血に塗れて赤くなったのを見たいわけではない。


流れ着いた先は、ドゥンドゥンしたランジェリーコーナーだった。


エロ本を買う高校生が如く、疾風の勢いでレジを済ませ、帰宅した。

貴重な平日休みに何をしているのだろうか、私は。


それはいわゆるベビードールというやつで、尻を隠すほどのキャミソール的なアレと

パンツがセットになったものだった。

流石に赤は躊躇われたので黒地に白リボンの物を購入。

自宅でペロリと開く。

 

まず、今の書きぶりから想像いただけるかと思うが、全く吟味していない。

99%勢いだ。


それがいけなかった。


キャミソール的なアレの、みぞおちから下がパックリ割れていたのだ。

腹丸出し。

フリフリなのは致し方あるまい。

ただ、腹が丸出しなのは困る。

別に腹筋に自信があるわけでもない。


自分の過ちに頭を抱える中、もっと大変なことに気づいた。


てーばっくなのである。


私は純情ガール(但し馬乗る)なのでそんなセクシーなものは持っていない。

むしろ綿パンツを見られてベソをかく生活を送る類の人間だ。


まず、意味がわからないくらいのローライズだ。

そして、尻の辺りの面積が非常に少ない。

世間一般のてーばっくがどんなものかは知らないが、最早布ではなく紐だ。

職人技の細さだ。


おそるおそる履いてみた。

尻が心もとない。

なぜなら肉は全部空気に晒されているからだ。

なんだこれ。

何故この腰回りのヒラヒラ分の布を尻に充てない。


怒っても仕方がない。

返品・交換は不可だ。


そして姿見の前に立った時、何より重要なことに気づいてしまった。


不細工である。


そう、私は不細工なのである。

最近何を思ったか髪をごっそり切ってしまったので、このアレな顔を遮るものが何もない。

酷い光景だ。


加えて私はセクシーランジェリーもびっくりのダメ体型である。

腹はふわっと、胸はゴッソリだ。

まな板、と呼ぶのは流石に悲しいので

甘食くらいを名乗りたい。

ただまぁ、その程度なのだ。

地獄の光景だ。



姿見の中、寒々しい格好で頭を抱える不細工。


悲しいかな。

慣れぬ所へ出向いたせいか、

ドゥンドゥンに負けたからか、

熱を出してしまった。


まちだの明日はどっちだ。